2023年7月20日木曜日

【指宿枕崎線乗車・開聞岳登頂備忘録 その2】 23'7/16-17

その1からのつづき


動揺してか本能でか下山方向に進んでしまったけどおっさんの一声で我に返り2.5合目から再び登頂を再開します。登山って終わった時の達成感はひとしおだけど最中は拷問のようなものだと個人的感想。中高の剣道部時代の打ち込みとかがしんど過ぎて汗か失禁状態かわからんくらいずぶ濡れになって竹刀を振っていたけど久々に同様の状態。汚い話だけど汗だけでズボンがずくずくでしたが意識も朦朧として失禁しているのかしていないのかもわからん状態になっていた。Z9+24-120mmF4レンズをピークデザインのマウントで肩に装着していた事もありチェストストラップをぎちぎちに締めていたけど締め付けられて呼吸するのもしんどくてそれで余計に頻脈と呼吸苦になっていたのではと遅ればせながら薄々気付きます。



呼吸機能検査で少し拘束性障害があるだけで労作時呼吸苦を訴える患者さんがいてなんでだろうと思っていたけどチェストストラップの締め付けがきついだけでこんなにも労作時呼吸苦が出るとは。生理的に厳密に異なるかもしれないけど拘束性という事には変わりなく逆の立場になってまた一つ今更ながら学ばされました。生理学とかぱっぱらぱーなので間違っていたらどなたか指摘してください。

余りにもしんどいので写真は封印。リュックの中にカメラをしまってチェストストラップを緩く締めるだけで登山を再開したら全然しんどさが違う。2.5合目から再スタートして3合目、4合目と目印を心の支えに進んでようやく5合目。ちょうど30分が経過して到着しここでようやく少しだけ視界が開けて錦江湾方面を臨む事が出来ました。




汗が滝のように出続けている状況に変わりはなくここで家から持参していたウイダーインゼリーで水分とエネチャージ。先日の槍ヶ岳行の途中で大将がスギ薬局で買い物かごに放り込んで上高地で使われる事なく持ち帰られたロイヤルゼリーウイダーゴールド。正直ノーマルウイダーより100円も高いしなんでこんなの買うんだと思いましたがノーマルより疲労回復が早いような気が。思いっきりプラセボ臭いけどはちみつ風味が上乗せされて本気で救われた気持ちに。
さすがゴールドと命名されているだけある。大将、あなたは間違っていなかったと心の中で詫びを入れながら登頂を再開します。
外から見たら頂上まで樹林帯150%の山ですから5合目以降も勿論樹林帯で視界は開けません。ただ足場が徐々に岩場中心となり雲がかかったりかからなかったりしている岩場なので濡れていて滑りやすいから要注意。


レスキューポイントが数ポイントありますがそのレスキューポイントだけ一瞬視界が開けて雄大な景色を見る事が出来ますが2.5合目から約1時間で7.1合目までやってきました。おっさんには4時間くらいかかるかもと脅されたけどこのペースならきっと大丈夫だろうと少し気持ちにも余裕が生まれ登山を楽しめるという状態にようやくなってきました。人間ある程度の壁を越えたら気持ちも楽になり、そして身体も楽になるものだと改めて思った。あくまで個人的主観だけど。



7.1合目からは対岸の大隅半島、そして本土最南端端の佐多岬を臨めましたがまだこの時間は雲が少ない。このままの天気のうちに登り切りたいとデジカメを取り出さずiPhone 12だけで撮影を済ませて登頂を続けます。
7.1合目からさらに30分登れば9合目の目印を通過しレスキューポイント2へ到達。こちらからは枕崎方面を臨む事が出来ましたがまだ雲はそこまでかかっていない。でもさっきより明らかに多くの雲が湧きあがってきている。この調子だと頂上に着いたら雲の中ではと危惧してこちらでもiPhone12だけで撮影を済ませて先を急ぎます。



が、予想通りひんやりと湿った感じが強くなり雲の中に来た感じになり山頂に到着した時にはガスの中という状態で悲ぴー。
でもきっと待てばまた雲が流れて一瞬視界が開けるはずと思い皇太子殿下が昭和63年7月20日に登頂されたという記念碑の横で休憩させていただきます。



と、10分くらい涼んで休憩していたら陽が差してきて一瞬ではありましたが少しだけ視界が開け開聞岳山頂からの景色を記念に収める事が出来ましたが360度見渡せる日にもう一度登りたいと思わされた。



結局また晴れるかも晴れるかもと思いながら山頂で1時間30分以上待ち続けたけどずっと雲の中で晴れる気配がしない。19時03分の枕崎行の列車に乗るためには余裕をもって16時くらいに下山と思っていましたが結局その時間までずっと雲の中で過ごしましたが諦めて下山。



山頂から少し下るとまた少し雲の晴れ間から枕崎方面を臨む事ができましたがせり出した岩場から直下を見下ろす事が出来ますのでこちらも晴れた日にゆっくりと座って眺めたいものですね。



19時03分の列車だから余裕だと思いちんたら下山していましたが7.1合目まで戻ってもまだ16時20分。登りで2.5合目から7.1合目までが1時間でしたので少し急いで降りたら開聞駅17時44分の枕崎行に乗れそう。ビュースポットは雲の中かつそれ以外は樹林帯で皆無であり立ち止まる要素もないので巻で下山を続けます。結局上り2時間、下り1時間で済ます事が出来て17時過ぎには開聞庁舎で涼ませていただき開聞駅17時44分の列車で枕崎まで行く事が出来ました。




今回の列車1347Dはキンキンに冷房が効いていて登山後の疲れを癒す心地よい揺れで本土最南端の駅、枕崎へ進みます。灼熱列車の揺れと快適列車の揺れは同じ揺れは揺れでも感じ方が違う。おっさんに上り4時間かかったと言われて心が折れそうになったけど実際にやってみないとわからんもの。勿論もっと時間がかかるパターンというオチという時もあるけどやはり自分の目と耳と行動で見て聞いて感じてという事をやらねばならぬ。何事も。
1347D 普通 指宿枕崎線 枕崎駅



斜陽で影かかかっている枕崎駅ですが18時36分に到着です。兎にも角にも取り敢えず宿にチェックインしてシャワーをしてクーラーの効いた部屋で涼みたい。駅舎の観察とか記念撮影は明日も出来るので真っ先に今晩のお宿に向かいます。向かうと言っても今宵のお宿は「枕崎ステーションホテル」とネーミングのまんまで駅前にあるビジネスホテル。意外と言ったら枕崎市民に怒られますが駅前には22時までやっているタイヨーという大きな総合スーパーもあったりと意外と便利でちょっぴり衝撃。



最近出来たホテルなのかかなり小ぎれいで室内も快適そのもの。駅の真ん前で素泊まり6200円ですがじゃらんポイントを使用して実質4500円也。ずくずくの服と下着はLサイズのジップロックに畳んで入れて密封処理し下着からズボンまで全て着替えて清めの儀式は完了。まだ薄明かりがありますが19時を回っておりちょっくら夕食へ出掛けて駅前通りを港の方に向かって歩きます。カツオ押しの街だけに至る所にカツオに因んだオブジェがあり目を楽しませてくれます。



枕崎駅周辺で食べるお店は限られます。事前に郷土料理を食べられるお店をリサーチしていましたが駅前の「一福」、港寄りの「まんぼう」「ふくろう」「だいとく」「ぴか一」「喜久屋食堂」くらいでしょうか。他にもあるかもしれませんが自分はこの6店に絞っていたのでまずふくろうさんに行ってみましたがなんとお休み。続いてまんぼうさんに電話してみたら満席で今日は予約以外無理と。だいとくさんもお休みと知っていたので駅前に戻ろうととぼとぼ歩いていたらちょうど喜久屋食堂さんの前を通りかかって中をみたらカウンターが空いていた。



店内は地元のお客さんで賑わっていましたがカウンターには他所からやってきたと思われる雰囲気の男たちが座って黙々と食事をしています。
そういや隣のメガネくんは先ほど枕崎駅に着いた時に駅で見かけており雰囲気から鉄ちゃんか。こんな果ての地で一人旅をしているのはきっと変態か変わり者に違いない。勿論まともな一人旅も多いという事はお断りしておきますが自分含めて毎回出会う人はひと癖ある人が多い気がする。

疲れていたしサクッと食べて帰ろうと思っていたらメガネくんがメニューを良ければどうぞと声をかけてきた。
いや、目の前にあるし大丈夫と答えたけどこれだけで終わったらなんか感じが悪い。
「あ、そういえば、駅にいませんでしたっけ?!」的な流れで返したらとりとめのない野郎トークの開始。なんでも彼は東京の瑞江に住む27歳の会社員だそうな。照明器具メーカーに勤めていて旅が好きで最近は撮り鉄にもなりつつあり登山やキャンプにも興味が出てきているそうな。自分の趣味と被るなーと思いながらもうんうんと聞いて21時過ぎに解散となりました。

以前なら名刺を渡してまた御縁があればと言っていたかもしれませんが一人旅、一人飲みをしている人って話はするけど何処か立ち入って欲しくない的なオーラをもっている人も多い。
飲む時は軽く話すけどあとはさいなら~的な感じな人が多いと勝手に感じているので今回は御挨拶もほどほどにお別れ。
酒と料理に関してですが酒は勿論薩摩白波の水割りとお湯割りを飲み料理はカツオの街、枕崎ですから「ぶえんカツオのたたき」と鹿児島黒豚を食べましたとさ。ぶえんカツオとは遠洋漁業の街、枕崎の組合が開発した沖合で血抜き処理したカツオさんを急速冷凍させたカツオの事みたいだけど高知で食べた藁焼きカツオのたたきの方が絶品だったかな。
でもここ、枕崎に来て枕崎産のカツオを食べられた事が最高の贅沢なんです。



そういや枕崎、センスあるなと思わされたポスターが店内に。一瞬枕崎の人と婚活出来るなら京都からでも参加したいと思ってよくみたらJR最果て最北稚内の昆布と最果て最南端枕崎のカツオとのコラボだった。「押してダメなら引いてみな」と恋愛の駆け引きもくじになぞらえ「押してタメたら引いてみな」と上手すぎる。こんな企画をする市は素敵。ふるさと納税で枕崎の鰹節やダシを毎年頼んでいましたが来年以降も継続しようと改めて思った。
お店を出てとぼとぼと駅の方に戻ります。日曜日の夜ですが人の気配もほとんどなく静かな枕崎駅前。夜の闇に浮かび上がるカツオたちよおやすみなさい。




列車の音かがするので駅まで行くと指宿からの最終列車が到着した所でした。列車にもおやすみなさいの挨拶をして22時まで空いているスーパータイヨーへ立ち寄りお茶やヨーグルトを買い込みます。
5329D 普通



日本最南端の終着・始発駅を全面に押し出しカツオ一色の街、枕崎は素敵すぎ。




こうして初日を無事に終える事が出来ました。明日は枕崎駅から京都までひたすら電車に乗って帰るだけの二日目ですがどんな二日目になるのでしょうか。


その3につづく





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